みやこ町の文化財についてのよくある質問を記載しています。 文化財について疑問に思ったことを「学芸員に質問する」からお送りください。いただいた質問については可能な範囲で回答をホームページに記載させていただきます。
三重塔の屋根瓦は、円形瓦となっている様ですが(写真参照)太宰府系の瓦を復元されとも記載されてました。詳しい内容を教えてください。
04月14日
三重塔は昭和60~62(1985~1987)年にかけ、全面解体修理を行いましたが、その際瓦については創建時(8世紀半ば頃)のものを出土資料から復元して葺くことが決まり、境内で行われた発掘調査によって出土した瓦の文様を復元瓦のデザインに採用しました。瓦のデザインは「老司系単弁十九弁蓮華文」と呼ばれるもので、ご指摘のとおり、考古学の研究分類上「大宰府系」とされているものです。 デザインの詳細を記述によりご紹介すると、以下のとおりです。①全体のデザインは仏の教えを象徴するとされる蓮の花を表現した 「蓮華文」と呼ばれるもの。②中心部分には1+8の蓮子、花弁の外側に25個の珠文が配されてい ます。③外縁部分には18個の鋸歯文(鋸歯状の三角形文様)が配されてい ます。 以上が、復元瓦のデザインとなります。ご参考下さい。
三重塔の2階に12星座がありますが、12星座は何時ごろから日本で使われ始めましたか?12星座は西洋の感じがします。ぜひ教えてください。
06月25日
一見12星座は西洋のものに感じられますが、発祥はBC6~7世紀頃のバビロニア(現在のイラク周辺)であり、その後大きく東西に拡散して独自の発展をとげましたが、ヨーロッパで発達したものが西洋占星術、東方のものはインドで密教に取り込まれて密教占星術として発達しました。ですので12星座そのものは必ずしも西洋のもの、西洋発祥のものではないということになります。 日本にはインドから中国・朝鮮半島を経て奈良時代ごろに雑密(ぞうみつ)として、断片的な知識として輸入されたようですが、本格的な導入は弘法大師・空海(774~835)による密教請来(平安時代初め/9世紀)以降となるようです。その後密教の普及と共に広まったようですが、基本的には密教を修めた僧侶や知識人等への普及にとどまる特殊な技術・理論だったようで、ごく普通の人々にも知られるようになるのは近代以降のようです。 なお、三重塔の12星座は密教理論に基づくものであることから「十二宮(じゅうにきゅう)」と呼ぶ方が、よりふさわしい呼び名となります。ご参考ください。
三重塔の色には何か意味があるのですか
三重塔は、全体を赤(正確には「紅色」と呼ばれるやや黒みを含んだ赤)で彩られていますが、この色には「破邪(はじゃ=災いを避ける)」「招福(しょうふく=幸せを願う)」の願いが込められています。 日本に限らず、古来人類は色合いにいろいろな意味を感じ・求め・願ったようですが、ことアジア圏に関しては中国を代表に、「赤」という色に紹介したような意味を持たせ、現在もその習慣は続いています。日本でも古くは縄文時代から赤色にそうした意味を見出し、墳墓や社稷・祭器・装飾品等にこの色を用いる文化が発達し今に至っています。