猫じゃらし(エノコログサの上のシジミチョウ) 昭和61年 犀川町 :実りの季節となりました。今回は向井澄男氏の写真の中より、実り多き秋を感じさせる風景、そしてそれを共に分かち合い支え合う「ふたり」を写し出した作品を選びました。ふるさとの豊かな風景を是非ご覧ください。
農作業 昭和43年11月 椎田町高塚:小さな手を繋いで歩く農道。日差しから見て午前中、農作業に向かう様子だと推測される。背後には稲刈りを終えて稲架干しの並ぶ田んぼが広がり、平野の先には平尾台、高城山、覗山と見られる山々がうっすらと覗える。子供の手にはお気に入りであろうブリキのはしご車がしっかりと握られている。幼な子への暖かな眼差しが麦わら帽越しに感じられる一コマ。
電照菊 撮影地不明:電照菊とは菊の栽培方法の一種で、日照時間が短くなると花芽を形成するという菊の性質を利用し、人工的に光を当てて開花時期を遅らせる抑制栽培のひとつである。昭和12年に愛知県豊橋市で日本で最初の電照菊が栽培された。温室内にて、はにかむふたりの穏やかさが伝わってくる光景。
ジャンボナシ 昭和60年11月 行橋市道場寺:新田原地区は明治30年頃から続く果実栽培の盛んな地域である。隣接する道場寺でも多くの果樹園が軒を連ねていたが現在では随分と少なくなった。写真は愛宕(あたご)梨、通称ジャンボ梨と呼ばれるハウス栽培の巨大な梨の出荷準備風景である。手分けして包んでいた新聞紙と落下防止のネットを外し重さの確認をしている様子。日持ちするため正月用として予約出荷する程の人気だった。
赤く映える干し柿 昭和51年11月 撮影地不明:冷え込みも厳しく真っ白な霜で明けたこの日、国旗の旗めく軒先に吊された干し柿に幼い姉弟が手を伸ばしている。現代と比べると甘い物の少なかった当時において農家ではおやつの定番であった。夕焼け色をした柿の実が連なる様子は目にも鮮やかに違いない。サッシの枠にしっかりと掴まり背伸びをして姉の真似をする健気な姿の微笑ましい風景。
ブドウの選別 撮影地不明:中津と久留米に出荷予定なのか名前の入った箱が積まれている倉庫の傍で、絣(かすり)のもんぺや酒屋(久留米の比翼鶴酒造)の前掛けを着けての作業をするふたり。不要な実や枝を剪定し出荷の準備をしている筵(むしろ)の周りには扇風機や醤油瓶、木製の酒瓶入れや漬け物樽など昭和の空気を感じられる品々が点在しているのが確認できる。
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